北海道・支笏洞爺国立公園に位置する支笏湖(しこつこ)は、日本でも有数の透明度を誇るカルデラ湖。東西に長く伸びたひょうたん型の湖は、周囲約40km、最大水深360m、平均水深でも265mと、秋田県の田沢湖に次いで日本で2番目の深さを誇ります。その深さゆえ、真冬でもほとんど凍ることのない日本最北の不凍湖としても知られています。
周辺は手つかずの原生林に囲まれ、四季折々の美しい景観と静けさの中で、訪れる人の心を癒してくれます。
支笏湖の釣りといえば、なんといっても「ヒメマス(支笏湖チップ)」。
この魚は紅サケの湖沼残留型で、もともとは阿寒湖とチミケップ湖の原産。1894年(明治27年)、北海道開拓が進む中で支笏湖に移植され、以降120年以上にわたって湖に根づいてきました。
地元では“チップ”と呼ばれ、夏の風物詩として親しまれてきたこの魚は、食糧難の時代には保存食・貴重なタンパク源として人々の命を支え、今では支笏湖観光を代表する資源として定着。湖畔の商店街や宿では、刺身・姿焼きなどの地元料理としても楽しめます。
ヒメマス釣りの解禁期間は毎年6月1日から8月31日まで。
主な釣り方は、エレキ(電動船外機)を使ったヒメトロ釣りと呼ばれる曳き釣り方式で、ボートでゆっくり進みながらチップの群れを探る奥深い釣りです。
チップは回遊魚であり、湖のどこを、どの深さを、どの速度で回っているのかを読み解く“3次元の釣り”が求められます。透明度の高い水面下から銀色の魚体が立ち上がってくる瞬間は、まさに支笏湖ならではの感動体験。群れに当たれば、全ての竿に同時ヒットすることもあり、腕の見せどころでもあります。
支笏湖漁業協同組合では、明治期に始まったヒメマス孵化増殖事業を120年以上にわたり継承。紋別岳から流れる湧水「シリセツナイ川」を利用し、発眼卵の生産・放流、水質調査などを一貫して行っています。支笏湖で育てたチップの卵は、今では道内外の湖沼にも提供されており、全国に支笏湖チップの命をつなぐ種苗基地としての役割も担っています。
春には「支笏湖チップ大漁祈願祭」が開催され、地元とともに資源と安全を祈る文化も受け継がれています。
出典:
支笏湖漁協HP
更新日:2026年5月18日