僕でも出来るはじめての釣り

2019/12/13

一番小さな釣り

フィッシュパスのスタッフなら釣り経験も豊富なのだろうと思われる方もいらっしゃいますが、実はそうでもありません。
今回は竹田川の渓流ルアーフィッシングでもお世話になった大嶋さんに指導を仰ぎ、江戸の頃より大名や豪商たちお大尽が嗜む「江戸前の粋な釣り」の代表格「タナゴ釣り」にチャレンジです。

タナゴとは、その名の語源(諸説あり)とされる「たなごころ(てのひら)」にたくさん乗るほど、釣りの対象魚の中でも最小の部類に入る魚です。タナゴ類はとても口が小さいゆえに、仕掛けも全体的に極めて繊細だそうで、本当に初心者の僕がタナゴに出逢うことは叶うのでしょうか。

タナゴはどうやって釣るの?

釣り場では大嶋さんに竿の扱い方に始まり、糸や鈎、浮子(うき)といった仕掛けの作り方、エサの作り方などを教えていただきました。

タナゴ釣りのエサには、市販されているヘラブナ用の練りエサの他に、タナゴには生卵の黄身に小麦粉やホットケーキミックスを足して作る「黄身練り」が使われるそうで、釣りエサに生卵の黄身を使うというのを初めて知りました。
タナゴ釣りの場合、一日で使うエサの量はとても少なく、卵一個分の黄身でできる黄身練りの量だと多すぎるため保存面など面倒なことも多かったのですが、今では粉末状になっていて、必要量を水で溶き練るだけの黄身練りが市販され随分と楽になったそうです。

タナゴの小さな口に入りやすいよう小さな鈎先に直径1mm程度の玉くらいの量をつけるよう注意しなければならないのですが、今回は専用に作られた黄身練りポンプ(絞り出し器)に市販の黄身練りを使わせていただいたので、そのあたりも比較的容易にできました。

竿や浮子などに凝ったり専用器具を揃えたり、はたまた仕掛けやエサに工夫したりと、準備を含めそういう細々(こまごま)としたプロセス自体が釣りの楽しさの一部であり、広がり、そして深みや味わいに繋がっていくのだろうなと感じました。

釣れた!

今回は福井県内のとある秘密の釣り場にやってきましたが、この場所は常に魚が群れているため、誰でも仕掛けをおろせば釣れる可能性の高い場所だそうです。

なぜこの場所を選んだかというと、釣りという遊びを楽しいと感じてもらうためには「釣り上げる喜びを知ることが大切」だそうで、大嶋さんいわく、将来も釣りを楽しく続けていけるようになってもらえるよう、特に初心者ほどとにかく成功体験が最も大事なのだ、ということでした。

最初から釣りの難しさや大変さを説明されるばかりで、魚が掛かり糸と竿を通じて直に生命感をその手に感じる高揚感や達成感、楽しさを感じる、知ることがなければ、その先の楽しみの前に釣りそのものがつまらなく嫌になってしまう・・・確かにそれってもったないですよね。

池の水は透明で上から魚がたくさんいるのが見えました。これだけいれば初心者だって簡単に釣ることができるんじゃないかと期待を込めた一投目。

小魚が群れを成して一斉にエサに集まる様子が見えました。鈎につけたエサ以外の目印にも反応しているのか、浮子から下の仕掛け全体に魚が反応して集まってきているようです。
そうして見ていたら、ちょっと大きめにつけすぎたエサだけをパッとさらわれてしまいました。
気を取り直し、エサもちょっと小さめに注意してつけた二投目。

ゆっくり沈んでいくエサに魚が勢いよくサッと飛びついたのを見てスッとやさしく引き上げる(鈎掛かりさせるため竿を立てる「あわせ」という動作)と、今度はしっかりと掛かりしました。

4-5cmほどの小さな魚なので引きは繊細でしたが、今日初めての釣果はとても嬉しかったのを覚えています。しかし、釣れてきたのは本命のタナゴではなくタモロコという魚。
タナゴはタモロコに比べ池の底付近を泳いでいて動きもそんなに素早くないので、たとえタナゴを狙って仕掛けを下ろしても、先に素早いタモロコ達が寄ってきてタナゴのいる層に届く前にエサをとられてしまいます。

そういうことが続き、結局、今回の釣行で僕がタナゴを釣ることは叶いませんでした。これだけたくさんの魚がいても、タナゴを釣るのは思っていたより難しいものだなと感じましたが、大嶋さんはタナゴ(ミナミアカヒレタビラという種類)をみごとに釣り上げてました。

ともあれ、タナゴも他の魚たちも、小さくともどれも繊細な美しい魚だったことに驚かされました。特にタナゴ類の雄は繁殖期になるととても鮮やかな体色(婚姻色というそうです)を身にまとい、一段と美しい色になるのだそうです。

タナゴとの更なる出逢いを求めて

昼食を摂ったあと別の釣り場を求めて別の場所へ移動しました。
タナゴはそもそもどんな場所にいるのでしょうか?

これも初めて知ったのですが、タナゴの卵はなんと二枚貝の中に産みつけられるのだそうです。なんだか寄生虫みたいな生態で怖いなと思ったのですが、それにより宿主の貝が死んでしまうことはなく、孵化すると稚魚は貝から外に出てくるそうです。

貝は卵が孵化するまで外敵から身を守る孵化器、ゆりかごの役割を担っているということになり、したがって、二枚貝が棲むきれいな水と底土のある池や川、用水路等にタナゴ類も棲んでいるということになるわけです。
ただ、近年は人工的要因による棲息環境の悪化や、観賞魚としての需要によるタナゴ類の乱獲なども懸念され、二枚貝と共にタナゴ類の生息域が減少傾向にあることがとても問題視されているという話も聞きました。

またまた秘密の場所

タナゴの居場所を求め、カーナビなど駆使しながら探索しては糸を垂らしたり水中カメラで見てみたりしましたが、残念ながらなかなか見つかりません。天候も悪くなってきたし時間も残り僅かになってきたので、以前から棲息が確認されている秘密の釣り場に行くことにしました。

この釣り場にいるのはタイリクバラタナゴという種類で、一説によると太平洋戦争前ごろに中国大陸から偶然に移入されてきた種らしく、タナゴ釣り愛好家の間ではその婚姻色の鮮やかさから親しみを込めて「オカメ」の愛称で呼ばれることもあるそう。タナゴ類の中でも小さい部類の種類で、午前中に釣れたミナミアカヒレタビラに比べ、体長に対して体高があるのが特徴です。

釣りを続けていると、下校途中なのか小学生の男の子達が興味津々で見にきてくれました。
急遽、大嶋先生の計らいでタナゴ釣り体験会に。

小学生達は、ほんのわずかな浮子の動きの見極めやアワセのタイミングの難しさ、力加減の繊細さに試行錯誤しながらも、最後には一尾ずつタナゴを釣り上げることに成功。今度は自分の力で釣ってみたいと目を輝かせて帰っていきました。これこそ大嶋さんが言っておられた、釣りを楽しむためにまず必要な成功体験なのですね。

こんなふうに思いがけない交流も、釣りの楽しみのひとつなのかもしれません。

普段はなかなか釣りをする機会がない僕ですが、今回、釣りの面白さの一端に初めて触れることができたような気がしました。タナゴが産卵をひかえ婚姻色が鮮やかさを増すらしい春(秋に産卵する種類もある)に、また会いに行けたらと思います。

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