2020トラウトルアーフィッシングシーン回顧録-序:春の巻-

2020/11/04

2020トラウトルアーフィッシングシーン回顧録-序:春の巻-

2020年の振り返り

コロナ禍でなかなか釣りに行くこともままならず、例年に比べれば全くと言って良いほど渓流に立てずに過ごした今シーズンではありましたけれども、私なりに今期の釣りを振り返ってみたいと思います。

私の場合、福井県下の多くの渓流が解禁を迎える2月1日から3月いっぱいは、例年ならば渓流釣りに行くことは稀です。何故かと問われればその時期、特に山間部においては残雪も多く、川にたどり着くのも苦労するような環境であることがほとんどだからに他なりません。

また、たとえ未だ凛とする冷たさをものともせず彼らに逢うことが叶ったにせよ、渓魚たちは越冬に備えて蓄えた栄養をほぼ使い切り、痩せて色合いの美しさも取り戻せておらず、謂わばなんとか命を保っているだけと表現しても過言ではないような状態だと思うのです。私見ですが、その痩せて黒ずんだ姿態を目の当たりにすると、ともすれば釣りあげたことを後悔することすらあるのです。

しかし、今シーズンは暖冬のうちに解禁を迎えたということもあり、空気の温さに妙に掻き立てられ居てもたってもいられず友人を誘い、例年であれば釣りに行こうとすら思わない解禁直後の渓流へ。とはいえ2月初頭ですからリスクを最小限にと比較的標高の低い河川を選ぶことで、期待と不安のバランシングを図りましたが(苦笑)

私が入渓してまずやることに水温測定がありますが、今期はやはり暖冬の影響によるものでしょうか、存外な高水温に驚かされながらのスタートとなりました。

例年ならば解禁直後は年間最低水温である4~5℃なのですが、現場はなんと9℃ほどもありました。これは例年ならば4月中~下旬の水温で、これで安定しているとすればルアー操作にさほど気遣いせずとも好反応を得やすくなってくるボーダーラインあたりの水温なのです。

果たして、第一投目から二人とも山女魚からの反応を得ることができました。小ぶりではありましたがサビ(越冬時期に魚体が黒ずむこと)も全く残っておらず、まるで盛期を思わせるようにぷっくりと艶やかで、それでいて早期らしい銀毛(ぎんけ:鱗の銀色が輝きを増している状態)山女魚は本当に嬉しく感じました。

それからも早期らしくなくコンスタントに山女魚は応え続けてくれましたが、ふと気になったのはとあるほんの小さなスポットでした。色々と工夫しつつ何度かルアーを通してみたけれど反応が得られなかったものの、どうにも諦めがつかず別のアプローチを友人に提案し試してもらったその一投目。提案通りに操られたルアーを真下から突き上げるようにひったくった山女魚は、尺には届かないもののなかなかの良型。速く、そして強く、飛沫をほとばしらせつつ竿を引き絞りながら素晴らしい抵抗を見せてくれましたが、ネットに収まってからはいかにも山女魚らしく泰然自若。それまでの小ぶりな銀毛とは明らかに違う、わずかにサビが残りつつも逞しさを湛えた、まさに精悍と称するにふさわしい魚体には、釣った本人はもとより傍観者の私ですら感嘆せずにおれませんでした。

いつも思うことではありますけれど、シーズン初期には特に、無事に厳しい冬を乗り切ってくれたこと、生き抜いた果てに我々の相手をしてくれたこと、そして健やかに命を繋いでいってほしいと、渓魚たちと出会うたび、そしてリリースするたびに喜びとともに安堵感と感謝の念を強く感じてしまいます。

その後あちらこちらと数回釣行しましたけれど、山奥でも季節が進み状況が好転するごとに渓魚たちの活性も上がり、山女魚のみならず良い型の岩魚に出会うことができたり、ウグイやカワムツ、オイカワといった鯉科の隣人たちとも再会を喜べるようになりました。

今期、梅雨入り直後くらいまではどこのフィールドでも概ね川や魚の機嫌がよろしかったような印象で、訊けば、それは仲間内の皆もさほど違わぬ印象でありました。

to be continued・・・

次回

2020渓流トラウトルアーフィッシングシーン回顧録-破:夏の巻-

ライター紹介

EGOIST 大嶋 信慈
・ハンドメイドプラグやウッドケースなどの周辺商材を製作販売。
・EGOISTic River Guide & School(RGS)
EGOISTホームページhttp://egoistlures.com/

フィッシュパスは川を囲んで、釣り人漁協地域社会を結び、豊かさと賑わいを提供します。

search star user home refresh tag chevron-left chevron-right exclamation-triangle calendar comment folder thumb-tack navicon angle-double-up angle-double-down angle-up angle-down quote-left googleplus facebook instagram twitter rss