大分プロジェクト#02〜大分川漁業協同組合〜

2022/04/22

大分プロジェクト#02〜大分川漁業協同組合〜

大分プロジェクト#02

50代になって強烈に思うことがある。
人生は、一期一会。
誰かと出会えることは、人生の恵み。
もし、もう一度会えるとしたら、それは奇跡なのだろう。

思わぬ展開

大分川漁業協同組合 飯倉組合長さまとの始まりは、他の漁協と違っていた。
いつものようにお電話をかけ、アポを取ろうとすると、
『まずは趣旨説明に来て』と言われた。
初めてのことだった。
心のハードルが上がった。

3月17日AM10時
趣旨説明の日。
少し早めに事務所に着いた。

事務の都甲(とごう)さんが、すぐに組合長室に通してくれた。
緊張のまま飯倉組合長に趣旨説明をする。
固い表情のままだ。
うっすらと心の中で思いがよぎる。
(…これはインタビューは断られるかもしれない…)

『つきましては、インタビューをさせて頂き、このようなページを作りたいと… 』と、仕上がり原稿をお見せしたとき、ぱあっと組合長の顔つきが変わった。

目を見張るような驚きの表情。
『これだけのページにしてくれるの?』
『は、はい!そのためには2時間ほどお時間を頂戴して、お写真も撮らせて頂きながら…。』
『そうなんだ!』
『はい、一番お伺いしたいのは組合長さまの想いです。事業を展開される上でのご苦労や、現状の課題をどう捉えていらっしゃるかなど…』
『そう!うちは今、組合数減少のV字回復を掲げて効果も出してるよ!』
そう言いながら、さっと立ち上がり書棚から関連資料を見せてくれた。

次々と貴重な資料を見せて頂いた。事業計画書や実施経過や分析などが記録されている。

『ほらね!』
『はい!ぜひともこのお話をお伺いしたいです。』
『出演料は出るの?(笑)』
『…出ないです…』

破顔一笑され、空気がふわっと和らいだ。
改めてインタビューのアポイントを取る。
そればかりか、『川の写真を撮るなら』とワカサギ漁の撮影手配までして下さった。
ありがたい!
この日限り、まさに一期一会かと覚悟したが、次に繋がった。
興奮と緊張で高揚したまま、事務所を後にした。

3月31日午前10時。
2度目の訪問。
早速、インタビューは始まった。

名水の極み『芹川ダム』

じゃあ、沿革から話そうか。
うちは、昭和26年5月に大分川漁協と大分県内水面漁業協同組合が一緒になって、大分川漁業協同組合ができたんだ。
きっかけは、漁業法の改正や水産資源保護法ができてね。
関係者からの意見や指導もあってね。
昭和28年からは、芹川ダムの工事が着工された。
完成したのは、3年後の昭和31年。
昭和33年頃、芹川ダムにワカサギの卵を入れたんだ。
約50万粒くらい。
琵琶湖や諏訪湖から買ってね。
ほぼ全部かえったよ。
そうやって、昭和33年頃から現在に至るまで60年以上、3年に一度卵を入れてる。

芹川ダムは、とても恵まれていてね。
まず、水質がいい。
芹川ダムがある竹田市は、湧水で有名。
湧き水が出ているから、水温が一定温度に保たれているんだ。
それにワカサギのえさになる動物プランクトンも多いしね。
ワカサギにとっての条件が揃っている。
源流は湯布院から来ていて、途中の久住連山も通る。
山、つまり森林に恵まれているからなんだ。
川の恵みは森林から来ているんだ。

川の水中写真。思わず息をのむほど美しい!

令和4年度は、ワカサギの卵を500万粒入れる計画なんだ。
芹川ダムに300万粒、七瀬ダムに200万粒。
放流事業としてね。
常に2~3年ごとに新しい卵を入れるんだ。
自然に孵化するものに加えて、ね。
理由?
人間と一緒だよ。
新しい卵を入れることで、強い魚ができる。
やっぱりね、新しい遺伝子と交配させると魚の強さが違うんだ。
こうすると、今まで以上に安定した増殖生産が可能になるからね。
費用対効果の面でも結果が出てるからね。
大分県でワカサギといえば、うちが一番だよ。

カワウ対策?
鉄砲で仕留めて、100匹くらい捕獲する。
漁協の組合員でなおかつ猟友会に入ってるメンバーにお願いするんだ。
今年から来年は、色のついたテグスを川に張るよ。
アユが産卵をする場所や遡上するポイントにね。
アユが住む所はね、石があってくぼみや深みがあるところ。
石にはアユが食べるコケもあるしね。
アユ漁が解禁になる6月まで、カワウからアユを守るためにね。

テグスを張るのは、船を使うよ。
うちは9支部あるから、各支部の組合員の方たちと一緒にね。

カワウのねぐらの捕獲?
以前、業者に頼んでやったことあるよ。
うちの管轄だとねぐらがあるのは、一木ダム、芹川ダム、七瀬ダムの3か所。
今頃の4月~5月がカワウの産卵時期で、木の上に巣を作ってる。
捕獲するにも船で行かないといけないし、近所に人家があるから鉄砲は撃てないし。
カワウはどの漁協も一番の問題だね。
いろいろな対策を、大分県の中部振興局に相談しながらやってるよ。

V字回復 組合長の決心

僕が組合長になって2年目。
実は2年目でV字回復をしたんだ!

うちも組合員数の減少が止まらなかった。
一番多い時は、昭和33年。
1700人くらいいたよ。
それがずっと減ってきて。
平成16年、17年の頃が約1,200人。
今は、およそ900人くらい。
その半分以上が70際以上の方たち。
80歳以上の人たちは、200人くらいいるよ。

組合員の減少や高齢化がずっと続いていたんだけど!
令和3年度。
辞めた人は36人。
新規会員は46人。
初めてプラスになったよ!10人も!
(ちなみにその前の年は、辞めた人が55人で新規が32人。)
本当にこれは画期的なことなんだ!

笑顔の飯倉組合長。目指す視座は高く、眼差しは優しい。

僕が組合長になった時、『組合員数を増やす』とはっきりと方針を打ち出したんだ。
具体的な取り組みとともにね。
『大分川を魅力ある川にする』
そのために
①増殖事業、放流事業を継続する。
②大分川で8種類もの魚が安定的に釣れるようにする。
うちは、8種類(アユ、ウナギ、ワカサギ、ハヤ、コイ、フナ、モクズガニ、エノハ)について県から認定をもらっている。
いろんな種類の魚が釣れる。
これも魅力のひとつだよね。

『新規組合員を増やす』
この決意をまず理事会にかけて、承認を得た。
そして総代会、ここが一番大きな議決機関なんだけど、ここに事業計画として明記した。
覚悟と一大決心だよね。

川の魚を取ることが好きな人は、どんな人かな、とターゲットを想定したり、
過去に組合員だった組合歴のあるひとやそのご家族にお誘いをしたり。
組合員のみんなと。
宣伝は主に口コミ。
そうやってると、『あそこに釣りの好きそうな人がいる』とか情報が入ってくる。
組合員が友達を誘ってくれたり。
そのためには、魚が安定して釣れないと。
だから、アユを1,900キロ、ウナギを1,500キロ入れるんだ。

仕掛けと口コミが連動すると、新規会員数は増えるはずなんだ。
46人の新規には、若い人たちもいるんだよ!
約半分が50歳以下!
20代や30代もいるし、若い女性も!
嬉しいよね!
『アユの友釣りがしたい』って入ってくれたんだ。
46人の新規会員!
この流れをブームにしたいね。
今、レジャーで釣りはベスト10に入ってるからね。
漁協の組合員になれば、かご漁や網漁もできるから、面白さがぐっと広がるよね。

川面に広がる網。迫力の一瞬!熟練の技。

それに、8種類も魚が取れれば長く釣りを楽しめるんだ。
実際、年齢を重ねてアユを求めて川の中を打って歩くのは、体力的に厳しい。
でも、ワカサギなら体の負担も少ないしね。
魅力的な川にするんだ!

想いにドラマが重なって

実は、とてもラッキーなことがあったんだよ。
大分川の下流の方は、ずっと大きな石がなくてね。
石がないってことは、住み家がないってこと。
カワウからも逃げられない。
人間と一緒。
住む家が大切。
そこで放流事業・増殖事業の一環として、石を入れる新しい試みをしたんだ。
重機を入れてね。

たまたま…。
令和2年の7月にものすごい大雨が降っただろう。
各地で川が荒れたよね。
阿蘇野川や花合野川でも大きな災害にあった。
この時の豪雨で石が動いたんだ!
川には大きな石がたくさん。
これはチャンスだと思ったね。
川石じゃないと川には入れられない、
この石たちを活用しよう!と、県や国交省に要望を出したんだ。
増殖事業としてね。
元々、漁協としてアユやハエが産卵し住みやすい所を創るために、川の中に重機を入れることは、毎年計画してたんだ。
そこで理事会を開いて、『この石を使おう!』と。
満場一致だったよ。
実際に石を入れたのは、翌令和3年度。
その年に初めて組合員数が増加した!

子どもたちに向けての取り組みもあるよ。
そこに七瀬川自然公園があるでしょ。
公園の中に川遊びができる場所があって、子どもさんとそのご家族は無料で魚を取ったりすくったりできるんだ。
支部によっては、組合員さんと地元の子ども会が一緒に活動してるところもあるよ。
子どもたちには、小さい頃に川に親しんでもらいたいね。
今は遊びが多いし、そのうち塾や部活や受験で忙しくなっちゃうよね。
だからこそ、川で遊んだ経験があるかないかで、川釣りに戻ってきてくれるかは全然違う。

魅力ある川作り。組合員と一緒に。

僕が組合員になったのは、10年前くらい。
元々父親が組合員だった。
でも僕は入ってなくてね。
以前の仕事?
国鉄のね、労働組合の事務長や委員長をやってたね。
国鉄がJRに切り替わる頃で、初代の委員長をやったんだ。
そりゃあ大変だったよ!
当時、労働組合はいくつもあったんだけどそれを統一したからね。

その当時と今も大切なものは変わっていない。
組合員が主体。
組合員と一緒になってやる。
だから今でも小さなやり取りを大事にするよ。
『こうしてほしい』という声をしっかり聴く。
もちろん、全ての要望に応えられるわけじゃないけどね。
そして目指すのは、漁協の『経済的・社会的地位を上げること』。

令和4年は、七瀬ダムも漁協権の行使ができる!
ワカサギの卵を入れて、育成をするんだ。
しばらくは様子を見ないとね。
今までやっていなかったことに取り組んでいくよ。
芹川ダムもワカサギ釣りにはいい場所なんだけど、やっぱり地域性ってある。
芹川は竹田市の方で、七瀬ダムは大分市。
ライフスタイルが違うでしょ。
ファッション性とかも全然違う。
大分市近郊でワカサギ釣りをする。
これも川の魅力作りの仕掛けだよね。

2時間きっかり。
ノンストップのインタビューだった。
組合長のお顔は、時に企業のトップのように見え、時に校長先生のようにも見えた。
『魅力ある川づくり』
明確なビジョンの下、実践は止まらない。

組合長を支える事務の都甲さん。

大分川漁業協同組合

大分県大分市大字田原字下川原451-9
TEL:097-542-2814

遊漁魚種
あゆ・こい・ふな・はえ・うなぎ・わかさぎ・えのは(あまご)・もくずがに(つがに)

年券(遊漁承認証+腕章):5,000円
日券(日券シール):1,000円
※中学生以下及び肢体不自由者は無料となります。

大分市情報

大分市観光案内所
https://www.oishiimati-oita.jp/

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