Casting for Recovery UK&I(フライフィッシングチャリティー団体)

2019/03/27

Casting for Recovery UK&Iとは

カスティング(キャスティング)フォーリカバリーUK&Iは、イギリスのチャリティ団体で、自然豊かな環境でフライフィッシングを通じて心と体を休める週末、リトリート(静養所)を乳がん患者へ提供しています。イギリス国内では現在毎年6箇所で開催されていて、フライフィッシングだけでなく、カウンセリング、乳がんや健康についてのトーク、フライタイイングなどの講習を2泊3日かけて受けることができます。このリトリートは宿泊含めて全て患者へ無料で提供されています。
実は、私がフライフィッシングの道をあゆむことになったきっかけこそ、まさにカスティングフォーリカバリーでした。2017年7月、胸にしこりを発見し、医者から紹介を受けて乳がんクリニックで検査したところ、グレード3乳がんが左胸に2箇所あることがわかり、その2週間後の8月にすぐに切除手術をうけました。その後、リハビリにしばらくかかっていた2018年の始め、とあるフライフィッシングの雑誌のカスティングフォーリカバリーに関する記事を紹介されました。

すると、私が在住しているイギリス南部でも2箇所開催されていることがわかり、せっかくなので、南西部のテスト川そばのリトリートに応募してみたところ、運良く抽選でひっかかり、参加する運びとなりました。

テスト川(River Test)

テスト川は、以前にもお伝えしたように、石灰質のチョークストリームといって、とても澄んだ水に、野生のブラウントラウトが生息しています。そこの水をひいた、4つの人工池のあるKimbridge on the Testという、普段は会員制のフライフィッシング向けマナーハウスにて、2泊3日のリトリートが2018年の7月の終わりの週末に開催されました。

 

モティスフォント(修道院)

モティスフォント(写真は2018年6月撮影)

金曜日の夕方が集合時間ですが、終日時間があったので、近くのナショナルトラストのモティスフォント(「フォント:font」は泉という意味で、水源のあるこの地に集落ができ、13世紀に修道院が創設される。)というところを散策しました。そこでは、今でも湧き水が出続けていたり、川が流れていたりと、水にまつわる地域だと感じることができます。また、川では早速トラウトを見つけることができました。その後、キンブリッジのマナーハウスへ向かい、カスティングフォーリカバリーのメンバーと参加者に会いました。

モティスフォント内の川にいたトラウト

カスティングフォーリカバリーでは、スーという女性がコーディネーターとして唯一フルタイムで雇用されているそうですが、そのほかのメンバーはすべてボランティアで参加しています。その中には、以前ご自身もカスティングフォーリカバリーに患者として参加して以来、その後ボランティアとして参加している女性もいました。また、元医者、看護婦、カウンセラーなども全員ボランティアとして参加しています。イギリスの慈善事業への意識の高さをありがたいと心から感じます。

金曜日の夜は、簡単な自己紹介と夕飯の後、談笑の場がありましたが、早めにみんな部屋に戻り、翌朝に備えました。翌朝は朝食のあと、敷地内の大きなフィールドでカスティングレッスンです。私を含めて、生まれて初めてフライフィッシングの釣竿に触れる参加者も多く、まずどうやってリールを竿につけるのか、どうやってラインを通していくのかというところから始まりました。そのあと、地面にマーカーを置いて、カスティングの練習をしました。何度やってもくねくねとなってしまうので、とてもこれは魚をつるどころではないですね、などと笑いながら午前中はずっと練習していました。

フライタイイング

昼食後は室内へ移動し、フライ作りに挑戦しました。この時フライを自分で作ることができるということにびっくりしました。(それ以来実はフライフィッシング以上にフライタイイングにはまり、今では毎週フライタイイング教室に通っています)この時、フライがなんなのか、どういう種類があるのかということを3種類のフライを通じて簡単な説明を受けました。

フライタイイング講座で作ったフライ3種

夕方にかけて、元医者とカウンセラーの方からの講習会があり、私たち乳がん患者にとって、とにかく常につきまとう「再発」の文字への怯えへの対策、健康維持についてのアドバイスなどを受けました。夏時間真っ盛りのイギリスでは、夕食後もまだまだ明るいので、庭でヨガクラスも開催されました。

初めての魚つり

翌日最終日、ついに初めて池で釣りをしました。池には、放流魚のニジマスのほかに、ブラウンやブルートラウトもいるようです。この日は参加者一人一人全員に、マンツーマンでフィッシングガイドがつきます。私には、ウェールズ出身のサリーというガイドがついてくれました。2018年の夏はとても暑い日が多くて、水温が高いため、魚は深いところにいるようです。そのため、毛足の長いフライを使って釣ることにしました。

相変わらず、ラインがくにゃくにゃにしかならず、サリーに何度もカスティングを手伝ってもらい、ついに初めて魚がかかりました!その時の衝撃は言葉に表せません。とにかく思った以上に重くて、また、魚がひっかかったということにびっくりして、腰がひけてしまいました。サリーが的確にリールの指示をしてくれました。竿がかなりしなり、折れるのではとひやひやしました。池の放流魚のニジマスなので、ここでは持ち帰ることができるということで、釣り上げるのを目的としているために、しばらく魚は泳がせながら余計な力をだしきらせる方式で釣り上げると言われ、しばらくしてリールを巻き上げて岸へ魚をよせて、サリーがネットへ入れてくれました。


↑サリーと及び腰の筆者

 

初めて魚をつりました。とても興奮しました。釣った魚は、キンブリッジ職員の方がすぐに袋にいれて、処理して帰宅時まで保管してくれます。その後も何度か釣り上げましたが残りはすべてリリースしました。

サリーと筆者:オービスはCfRのスポンサーとして用具をすべて貸し出してくれています。帽子はお土産にいただきました。

フライフィッシングをその後も続けているのは、この日の参加者の中では私だけのようですが、スー含めボランティアで参加していたガイドのサリーや、オービスショップのキース、また参加者のナンシー、ジュディ、キャロルたちとはいまで交流があります。この週末は、私を大きく成長させてくれました。乳がんとフライフィッシング、いったいなぜこの2つ?と最初は思いましたが、筋肉の働きからのリハビリ面だけでなく、ガン告知後の精神衛生向上はとても大きいと感じました。


Casting for Recovery Kimbridge on the Test 参加者集合写真

参照

Casting for Recovery UK&I:https://www.countryside-alliance.org/charity/casting-for-recovery-uk-ireland

ライター紹介

イギリス在住のペンネームあきばのあけさん。Casting for Recovery UK&Iというチャリティ主催のフライフィッシングコースに参加して以来フライフィッシングを始める。現在、イギリスではチョークストリームでの川釣りや、池でのニジマス釣りをする。

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