漁協とは#1 漁協の組織構成

2020/01/22

日本の川を守る漁協

日本には、沢山の川や湖沼があります。ここでは、川と言う事にしますが、その川には、アユやイワナ、ヤマメなど人々の暮らしに密接に関わる資源を供給する機能があるほか、多くの人に潤いある自然と親しむ機会を提供しています。魚釣りや、水辺でのアウトドア活動、子供たちの自然体験など誰もが一度は体験し、また、行ってみたい場所、それが自然豊かな川です。

しかしながら、川は何もしないでそのまま放っておくと、豊かな自然や魚などの大切な資源は失われ、いつかは枯渇し荒れ果ててしまいます。例えば、ダムや堰の建設により、魚の回遊が妨げられることで自然繁殖できなくなったり、工場や家庭からの排水により川が濁り、魚が棲めなくなるなど、人々の営みにより自然のバランスがくずれてしまいます。更に、川鵜などの鳥獣被害もまた、川の資源に深刻な影響を及ぼしています。

そんな川を漁業者と言う立場から、現場で守り、魚などを増殖し育てているのが、内水面漁業協同組合漁協と呼ばれている組織です。日本には、現在800の漁協が、それぞれが管轄する川を守っています。

漁協は、川の自然に大きな影響があるダムや堰の建設や工事に対して、出来るだけ川に負荷をかけないよう魚道の設置を求めたり、魚の産卵場を整備したり、アユやヤマメなどの魚を放流したりと、様々な地道な活動を行っています。

あまり一般的には知られていない漁協ですが、まずは組織の構成からご紹介します。

組織構成

組合員

漁協とは、水産業協同組合法に基づいて設立された、協同組合という法人です。この組織は、組合員によって構成されています。全国には、現在約800ありますが、漁協には経営難など様々な原因で、解散してしまった漁協もあります。

さて、その漁協の組合員になれる資格条件は、

① 住所条件

組合の地区内に住んでいること。

②    営業・従事条件

1年のうち30日から90日までの間組合の定款で定められた日数以上、

1.漁業(漁業、養殖業)を営んでいること(漁業者)

2.漁業者に雇用されて漁業をしていること(漁業従事者)

3.自家消費やレジャーの採捕をしていること(採捕者

※採捕には、調査や外来魚の駆除なども含まれる。

組合員以外の採捕者=遊漁者(釣り人)

以上となっています。組合員になるには、何だか厳しい条件のように見受けられます。1年のうち30日から90日何らかの形で漁業を営むか、または採捕者であること、と言う条件です。ちなみに、現在の漁協の組合員の93%は、「3.自家消費やレジャーの採捕」をしているいわゆる地元の釣り人です。実は、30日から90日という条件に当てはまる組合員は実際にはあまりいません。厳密に組合員審査を行なえば、組合員は居なくなってしまいます。それでは、組合の運営が出来なくなり、川は守り人を失ってしまいます。ですから、漁協を管轄する行政も漁協自身も、この条件については、厳密な運用はしていないのが現状のようです。

ですから川のある地元に住んでいて、釣りを楽しむ人なら誰でも組合員になる資格があるという事になります。もちろん漁協に加入の為の書類を提出し、漁協の承認は必要ですが、協同組合原則に加入脱退の自由というのがありますので、組合員になりたいという申し出があれば、漁協はむやみに断ることはできません。それに、新たに組合員となってくれる人を歓迎する漁協も多くあります。

また組合員になる条件としては、漁協の取り決めに従って、一定額の出資金と、組合員でいるための賦課金を支払う必要はあります。尚、出資金は組合員を辞める時には返却されることになっています。

新情報(あなたも組合員になれる)

平成30年12月農林水産省の通達「漁業法等の一部を改正する等の法律の概要について」により、法改正により組合員資格が拡大しました。

これまでの条件は、1.漁業者や2.漁業従事者、3.採捕者のみでしたが、新たに「増殖をする者」も組合員の資格を得られるようになりました。つまり、放流や産卵場の整備など、魚の増殖のために活動する人も組合員になれるということです。ごく一部の条件を満たした人のみ、得られる資格でしたが、川と魚を愛し、未来のための川づくりをしていこうという人が組合員になれるということです。こういった法改正は、一般に知られていませんので、これを機に地元の漁協に、組合員になりたいです、と問い合わせてみてはいかがですか。

「内水面組合制度の見直し」の条文

内水面において水産動植物の採捕、養殖又は増殖をする者を主たる構成員とする漁業協同組合(内水面組合)における個人の正組合員資格を、 水産動植物の採捕、養殖又は増殖をする日数が年間30日から90日までの間で定款で定める日数を超える者とする。 (第18条第2項関係)

理事

漁協の運営は、民主的に行われています。漁協の運営(硬い言葉では業務執行といいます)は、役員が行います。その役員は理事と呼ばれていますが、理事は組合員の中から選ばれます。組合員は一人一票の選挙権があり、選挙によっての選出という事になっています。理事は理事会を構成し、その理事会で組合長等の執行役員を選出します。一般の会社でいうなら、執行役員は、代表取締役社長とか専務、常務に当たり、理事は取締役と言うことになります。

また、理事や執行役員を監督するために、監事も組合員から選出されます。監事も役員と言う位置づけです。当然のことですが、組合員なら誰でも役員に立候補することもできる、被選挙権もあります。

次回

「漁協とは #2漁協の役割」

次回は、漁協の主な役割についてご紹介します。

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