田沢湖クニマス未来館

2019/11/01

田沢湖クニマス未来館

クニマス動画

以前、本マガジンにおいて、小学5・6年生向け夏の読書感想文の課題図書に『クニマスは生きていた!』を紹介しました。今回は、その舞台となった田沢湖に行き、実際の「田沢湖クニマス未来館」に取材に行きました。

はじめに

クニマス(国鱒)とは

クニマスとは、サケ目サケ科に属する淡水魚で別名「キノシリマス」という。体長は平均で25〜30cmで大きいものは40cmほどになる。全体的に黒っぽく、「キノシリ」とは木の尻のことで、囲炉裏の薪の燃えカスに似ていることから、その地方では「キノシリマス」と呼ばれていた。一生を湖で送り、同じサケ科のヒメマス(ベニマスの陸封型)に似ている。普段から湖の深いところに生息し、湖底深く(40m〜200m)に産卵するため、サケ科の中でも変わった特性を持っている。

田沢湖

秋田県仙北市にある田沢湖は、日本最も深い湖(最深423m)で、その透明度から「神秘の湖」と呼ばれ、クニマス、サクラマス、イワナ、コイ、ウグイ、ウナギなど20種類の魚が生息していました。

田沢湖の象徴「たつ子像」

永遠の若さと美貌を願い、湖神となったと伝えられる、伝説の美少女たつこ姫のブロンズ像

1940年(昭和15年)に、国策として田沢湖は水力発電と農業用水のダム湖とするため、近くを流れる玉川温泉水を含む玉川の水が引き込まれました。以前の田沢湖の水はpH(ペーハー)6.3であったが、玉川からの水により、pH1.2という強酸性水になりました。レモン汁がpH2.5、 それよりも酸化が高い胃液がpH1.5であるため、相当酸化度が高い水です。それにより魚がすめない「死の湖」となり、田沢湖にしか生息しない世界で唯一の希少種であるクニマスも、1940年の確認を最後に絶滅したと思われました。

最後のクニマス漁師

最後のクニマス漁師 三浦久兵衛さんは、あるとき絶滅前にクニマスが日本の何箇所かに発眼卵が送られたことを知ります。クニマスの卵が各地に分譲された地元の文献も見つかりました。そこから三浦親子による全国各地へのクニマス探しが始まりました。

クニマス探しキャンペーン

*田沢湖クニマス未来館に展示されていた実際のキャンペーンポスター

1995年に「クニマス探しキャンペーン」という企画を立ち上げ、クニマスを発見した人は懸賞金100万円(のちに500万円)とし、大々的に全国に探索を呼びかけられました。そして久兵衛さんはじめ魚類学の大学教授も入り、全国から送られてくるクニマスと思しきものの鑑定を行いました。計13体が送られてきたが、いずれもクニマスと判定されるものはなく、このキャンペーンも3年で打ち切られました。

クニマス発見のニュース

三浦久兵衛さん始め関係者もなかば諦め、約10年がたちました。しかし2010年12月、富士山に近い山梨県の西湖(さいこ)で、絶滅したと思われたクニマスの生息が確認されました。絶滅したと思われる1940年から70年後のことです。世紀の発見としてテレビ紙面等で大きく取り上げられました。クニマスがなぜ500キロも離れた湖で生き延びていたのか、多くの人が驚かずにいられなかったようです。

田沢湖クニマス未来館

田沢湖の湖畔に隣接する施設


曲線になっている回廊からは、美しいブルーの田沢湖と周りの山々を眺めることができます。

展示はクニマス水槽とテーマ(①田沢湖とクニマス②すぎし日の田沢湖③未来に向かう田沢湖)ごとに3室に分けられています。

クニマス水槽

写真は、2019年山梨県西湖から送られたクニマスです。

クニマスは世界中で田沢湖だけに生息していましたが、玉川酸性水の導入により絶滅しました。1935年に山梨県西湖に移植されたクニマスが生き延び、増殖を行い、今現在クニマス未来館で飼育されています。

第1室:田沢湖とクニマス

田沢湖の特徴、クニマスが田沢湖に棲むようになった経緯などが説明されています。

第2室:すぎし日の田沢湖

当時クニマス漁を行なっていた漁村風景と田沢湖のクニマス人工孵化施設が紹介されています。


クニマス漁に使った丸木舟と刺し網が展示されています。当時、湖に鉄を入れると祟りがあるという「たつ子姫伝説」が信じられていたため、田沢湖では鉄釘を使った舟がなく、丸木舟を使用していました。

クニマスが絶滅に至った経緯が記されています。

第3室:未来に向かう田沢湖


山梨県西湖での発見の経緯などが展示されています。

NHKによって撮影された西湖のクニマス写真の展示です。

田沢湖再生を願って

田沢湖の酸性質を中和するための処理施設の概要が展示されています。

かつてはたくさんのクニマスが棲んでいた田沢湖でしたが、飢饉や戦争によってやむなく湖水が酸性となり、クニマスは消えてしまいました。現在、田沢湖の生態系が回復するための様々な改善プロジェクトが行われています。再び田沢湖でクニマスが見られる日が来ることを願っています。

施設案内

開館時間:通年 午前9時〜午後4時

休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)

料金:大人 300円(高校生以上)/小人150円(6歳未満無料)

電話番号:0187-49-8131
FAX: 0187-49-8151

詳細はこちら→https://www.city.semboku.akita.jp/sightseeing/miraikan/shisetsu.html

アクセス

次回予告

「山梨県西湖のクニマス館」

絶滅したと思われたクニマスが発見された山梨県西湖にあるクニマス館の紹介です。

フィッシュパスは川を囲んで、釣り人漁協地域社会を結び、豊かさと賑わいを提供します。

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