【書籍紹介】小説 巨鮎に憑かれた男たち

2018/12/26

【書籍紹介】小説 巨鮎に憑かれた男たち

鮎釣りをテーマにしたミステリー小説3編です。つり人社から「つり人ノベルズ」として出版されています。

釣りの専門書、釣日記、随筆本は多くありますが、今回は鮎釣りをテーマにしたミステリー小説の紹介です。

巨鮎に憑かれた男たち

栃木県 那珂川で、化け鮎が出現した。水面につからんばかりに竿は曲がり、胸まで水につかるほど深みに走られ、竿はのされ倒れ、糸が伸びきって切れることが多発した。当初は、ゴミ、もしくはニゴイと思われていたが、鮎釣り師のみに起きる現象だったことと目撃証言で黄色い追い星があったと聞く。それは尺はゆうに超える35cm以上の鮎であった。その正体は、研究培養している鮎の孵化直後にホルモンを投与し、DNA上メスであるがオスの特性を持ったアユであった。老いることなく、錆も婚姻色も出ず、年を越える耐性になり、どんどん成長する。それに加えて活性酸素を与えてより巨大化したものであった。それらの鮎がなぜ那珂川に現れたかというと、培養していた会社の社員が盗み、那珂川はじめ、千曲川、狩野川、天竜川に放流したことによる。そしてのそのバックには、倒産寸前の鮎釣りメーカーが、起死回生のために開発した超硬硬竿を売り込むためのものだった。その噂は瞬く間に全国に広まり、またその釣り具メーカーが35cm以上の鮎の現物を冷凍で送ると賞金3万円を出すというキャンペーンを打ち出した。そこから那珂川には懸賞金目当てに全国から釣り人が殺到した。また球磨川の名人、狩野川漁協の理事たち、上桂川のプロ集団が入川し、次々に巨鮎を釣り上げていって幕は閉じたと思われた。しかし、犯人の証言で、35cm以上の鮎の中に50cm級の鮎が2匹いたことが分かった。そこから町長を巻き込んだ形で、巨鮎の捕物ストーリーが始まる…

狩野川慕情

昭和30年頃、小学校教師が狩野川での川漁師の出会い、鮎釣りを学ぶ中、狩野川台風(1958年9月27日に、伊豆半島に甚大な被害を与えた台風22号 )を経験することから始まる。そして、教職退官後に狩野川漁協の役員として狩野川再生の奔走する話。本作では狩野川とそこでの鮎釣りの当時の様子、そして想像も絶するほどの台風被害が細かく描写されている。狩野川の鮎の異変、河川土木業者との揉め事から本格的にミステリー要素が入ってくる。最後に、揉め事の張本人が、鮎釣りを軽んじた結果…

魔の四万十川

教師である主人公が、四万十川の十和村を舞台に、激流の中溺れ死にそうな経験をしながら熊本県球磨川を超える巨鮎を追い求める話。大鮎を求めた地元の川漁師“源ジイ”が川で亡くなった…

3編のうち1編はフィッシュパスと提携している狩野川が舞台となっております。狩野川漁協の津田おとり店に訪れた際に、店主の津田さんは、本書にある狩野川台風を子供の頃経験し、同級生と九死に一生を得る体験をしたことを話してくれました。狩野川の決壊直前、修善寺橋周辺の川の水が一瞬無くなり、静まりかえったったのち、一気に濁流が流れ家という家を押し流したようです。実際の話と本書の内容を重ねながら読み、狩野川台風の脅威を改めて痛感しました。

また、狩野川漁協の実在の歯科医である元組合長や事務長と思われる方の名前が登場します。また、釣り雑誌やメーカーのテスターとして有名な方と思しき名前(etc:1字違い)が出てきます。ミステリー小説ではありますが、おそらくこの方だろうと思いを馳せながら、このアユ釣り小説を読んでみるとより一層楽しめます。

『巨鮎に憑かれた男たち』つり人社  1999年 950円(税抜)

フィッシュパスは川を囲んで、釣り人漁協地域社会を結び、豊かさと賑わいを提供します。

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