フィッシュパス世界を釣る(イギリス編)

2019/02/15

新企画「フィッシュパス世界を釣る」がはじまりました。今後、日本の川釣りだけでなく、世界の川釣りを特集していきます。

初回はフライフィッシング発祥の地イギリスより、グレイリング(European Grayling)釣りレポートをお送りします。

日本では馴染みのないグレイリングですが、ヨーロッパ、特にイギリスではポピュラーな魚です。

グレイリングの生態をまじえながら、ライター「あきばのあけ」さんからのフライフィッシングレポートを紹介します。

グレイリング(カワヒメマス)とは

写真提供 :The Grayling Society(https://www.graylingsociety.net/)

北半球にグレイリングは6種いますが、ヨーロッパでは1種のみで学名はThymallidae(ティマリダエ)、日本名で「カワヒメマス」と言います。主にヨーロッパ北部に生息しており、特にイギリスではフライのみ許可されている川が多く、ウェットフライを使った対象魚として楽しまれています。清澄で流れの速い川に棲み、その代わり環境の変化に敏感で、河川環境が悪化すると真っ先にいなくなると言われています。

写真提供 The Grayling Society(https://www.graylingsociety.net/)

体長は大きいもので40cmほどあり、琥珀色をしておりイギリスでは別名アンバー(琥珀)とも呼ばれています。この魚の特徴は、オスメスによって異なりますが、大きな背びれに特徴があります。船の帆のような背びれは体長の3分の1ほどあり、紫や赤みがかった優雅で個性的な色彩を持ちます。全体的な特徴は、日本で言うところのマスには似ておらず、ウグイに近い印象があり、こと背びれに関しては、オイカワの尾ビレのようです。

写真提供者(左上:Alisdair Duncan 左下:Bill Eadie  右上:Neil Canavan 右下:Rodney Wevill

口は小さく、掛けてからも外れる事が多く釣り方に工夫が必要です。グレイリングを目的でもトラウトが釣れてしまうことが多々あるようです。

グレイリングにおける文献

17世紀作家ウォルトン『釣魚大全』では、第6章(実質2ページ)でグレイリングについて書いています。その中で、グレイリングのヨーロッパの各地方での評価を次のようにまとめています。スイスでは魚の中では1番上等、イタリアでは珍重され一番の高値がつく、フランスでは黄金を餌にしており腹から金の粒が出ると言われる地域や、かたやゲス野郎と呼ぶ地域もあるようです。

当時の釣り方紹介では、4月中旬から5月、初夏にかけて活性が上がり、ミノーでもミミズでも釣れるが、やはりフライの食い付きが良いとされ、海外の赤色のインコの羽で作られたフライがよく釣れるとあります。ウォルトン自身最後に、マスのようにどこにでもいる魚ではないが、食べるにしても釣るにしても、淡水魚の王のマスほどではないと言っており、ウォルトン好みの魚ではなかったようです。

釣りレポート

釣り場と時期

2018年10月23日(ラグ川)

ラグ川(River Lugg)とは

イングランド北西地方のLeominster( ちなみにレオミンスターではなくて、レミンスターといいます)の北西を流れ、ウェールズを通りアイリッシュ海に注ぐ川です。

2018年のイギリスは、夏からずっと乾燥していて、平年であれば秋ともなれば肌寒く雨がちになるところ、この日も10月は三週目をすぎていたにも関わらず青空が広がっていました。

イギリスのグレイリング

イギリスでは70年代、80年代くらいまでは、グレイリングはトラウトを邪魔する魚として忌み嫌われていました。しかし、トラウトなどサケ科の魚のように、尾びれと背びれの間に小さなヒレがあるので、みかけは似ていませんが、同種の魚で、近年はトラウト禁漁期間のゲームフィッシングのターゲットとして人気があります。

遊漁券(フィッシングパスポート)

イングランドでの川釣りは、基本的にはフィッシングクラブに所属したメンバー制のところが多いのですが、ウェールズ内とウェールズに近いイングランドの境界付近には、フィッシングパスポート制度があり、デイチケットをオンラインで購入すればすぐに釣りが楽しめます。

私たちが選んだのは、中央ウェールズから始まり、イングランドのレミンスターという街のそばを通るラグ川でした。フィッシングパスポートを購入すると*1、すぐに確認メールとともに、実際の釣り場の地図も送られてくるので、それを頼りに出発します。イギリスでは大体の地域において、10月の1週目でトラウトは禁漁となり、解禁するまでの冬の期間は主にグレイリング釣りがメインです。

*1:2018年10月現在、グレイリング釣り1人:18ポンド(うち手数料3ポンド)=約2,700円/日

釣りレポート

今回のビートは全長約1マイルで、ウェーディングが必要なため、車を降りたら装備を整えていざ出陣です。川のほうまで行くには動物よけの柵を乗り越える必要があります。さすがに雨が長いこと降っていないので、川べりをみても水位がかなり低いように思えます。Weighted Nymphs (ニンフ)を使ってグレイリング釣り開始です。

私の娘には、念の為ライフジャケットを装備させて一緒に川へ入りました。川の流れは緩やかで、水も澄んでいます。一部、腰上まで浸かる場所もありますが、全体的に安全な川ですので、初心者にも向いています。今回は6匹のグレイリングと、アウトオブシーズンのトラウトも1匹かかってしまいました。なお、釣りの結果はフィッシングパスポートのサイトに登録しないといけないのですが、それについては、次回の原稿でふれたいと思います。この時期3時を過ぎると日もかなり下がり、気温もぐっと冷え込みます。

最後に

フィッシングパスポートについて(今回のフィッシングパスポートだけでなく、ウェストカントリーでも別の団体がありますのでそれついてもお伝えしたいです)、それから、Casting for Recoveryについてもお伝えできたらと思います。

ライター紹介

イギリス在住のペンネームあきばのあけさん。Casting for Recovery UK&Iというチャリティ主催のフライフィッシングコースに参加して以来フライフィッシングを始める。現在、イギリスではチョークストリームでの川釣りや、池でのニジマス釣りをする。

写真提供

The Grayling Society(https://www.graylingsociety.net/)

Alisdair Duncan さんBill Eadieさん Neil Canavan さんRodney Wevillさん

参考文献

『釣魚大全Ⅰ』アイザック・ウォルトン(著) 飯田操(翻訳)1997平凡社

『世界大百科事典第2版』1950 平凡社

『日本大百科全書』 1994小学館

Casting for Recovery UK&I:https://www.countryside-alliance.org/charity/casting-for-recovery-uk-ireland

次回

第2弾:フィッシュパス世界を釣る(イギリス編)は、「イギリスの遊漁券」です。

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