2020渓流トラウトルアーフィッシングシーン回顧録-急:秋の巻-

2020/11/18

2020年 秋の振り返り

秋編と書き出してはみたものの、秋の気配を感じたのは9月も半ばになったあたりで、9月末で全面禁漁になることを思えば、ラストチャンスがあるのかどうか不安を覚えるほどでした。

前編でも酷暑と書きましたけれど、今年は梅雨明けあたりからずっと、約2ヶ月もの間夏日が続きました。途中、記録上では気温が30℃を下回った日も幾日かはありましたが、体感上は…言うまでもないでしょう。冷水性の渓魚のみならず、比較的高い水温でも生きて行けるその他魚類ですら、命の危険にさらされた2ヶ月間だったかもしれません。

渓流釣りをされる方は良くご存じかと思いますが、よほど高地のフィールドでない限りは、8月に入るあたりから大量発生するメジロアブ(通称「オロロ」)という小型のアブに約1ヶ月ほどの間、釣人は悩まされることになります。厄介なことにこのメジロアブには市販の虫よけ剤はほとんど効果がなく(ディートという成分が入ったもののみがある程度の忌避効果を期待できます)、私はハッカ油やアルコールなどを混ぜて自作したもの(参照:釣り名人に聞こう!「夏の渓流の虫対策」)や白い服装などでなんとか凌いでいるのですが、多くの釣人がアブに刺されるのを嫌って釣行を控えがちになるのもこの時期なのです。

今期は気温が早い段階から高く推移してきたせいか、メジロアブが目立つのも早かったように思います。そして、9月に入るころに沈静化の気配を見せ始めるのが例年なのですが、今期は気温が秋めくあたりまでズルズルとした感がありました。

メジロアブの大量発生は確かに困りものです。

しかし、夕立などの直後はかなりの量が川に落ちて流れ、増水傾向などのプラス要因で活性が上がった渓魚たちのメインディッシュになったりすることがあります。そうなると、時として我々釣人の味方となってくれるケースもあるというのは覚えておいて損はないと思います。

そんな恩恵に今期も私は幾度か助けられました。

生き物の気配すらないように感じられていた流れの中から、もう川の神様の贈り物としか思えないような、時には数が釣れたり、時には美魚や良型を賜ったりしました。

そして9月も半ばを過ぎ、山中に分け入ればなんとなく秋めいた風を感じられるようになってきたころ、今期ラストになるかもしれないという友人にお誘いいただいて山女魚と岩魚が混生する川へ。

入渓して間もなく、ドラマは突然訪れました。

周りに比べて水深があり水量、流速も申し分ない上に樹木の枝葉がほどよく影を落とした、いかにも大型が好んで着きそうなスポットに流された友人のルアーを丸呑みしてきたのは、秋色を纏いはじめた精悍な貌つきの雄の尺超え山女魚でした。

もう30年以上渓流釣りをしてきて、数多の美魚良型と出会ってきた私ですが、今期の苦しさもあったのでしょうけれど、自分が釣った魚ではなくともこれほど嬉しい一尾もそうないなと感じたのも偽らざるところ。

ただ、せっかくの尺越え山女魚だったのにとても残念なことが・・・

といいますのも、写真を整理していてあらためてみると写真がどうにも。構図もそうですしメジャーを添えた単なる記録写真のようなものばかりで、魚を主人公にした写真を撮っていないことに気づきました。

思い起こせばあまりに出来過ぎた出会いに、不惑をとうに過ぎた男二人して小躍りするほどでしたので、ある意味冷静さを欠いて舞い上がってしまっていたのかもしれません。少々、恥ずかしいほど情けない気持ちで、いまさらながら苦笑いするしかありません。
でもまぁ、どれだけキャリアを重ねようとも、こんな風に都度新鮮な心地で楽しみ、喜ぶことができたりするのも釣りという遊びの良いところなのですよ、と。

こんな感じで私の2020シーズンは幕を下ろしました。

コロナ禍のなか自粛もあり、近年になく釣りに行けなかった今シーズン。解禁当初は雪どころか春の気配爛漫の中で多くの渓魚と再会を喜んだのもつかの間、その後は釣りに行きづらいとか過去記憶にないほど高水温だとか、とかくいろいろと苦しんだシーズンでしたが、友人のおかげで有終の美を飾り得たのは僥倖でした。まさに、始めよければ終わりよしといったところでしょうか。

最後に。

来シーズンはまた以前のようにおおらかに渓流を楽しめるシーズンになりますように・・・

~Fin~

ライター紹介

EGOIST 大嶋 信慈
・ハンドメイドプラグやウッドケースなどの周辺商材を製作販売。
・EGOISTic River Guide & School(RGS)
EGOISTホームページhttp://egoistlures.com/

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