キーツ岩田のA trip around the river 福井県九頭竜川水系(大野市漁協) ~ゴルジュが護る原生林に、原種のイワナを見る~

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「そろそろ行けるか?」
5月某日。ふと思い立って、大野市漁協管理区域のとあるエリアへのテント泊釣行に向け、リュックへキャンプ道具と食料を詰め込んでいました。
九頭竜川水系の最上流部に位置するそのエリアは、福井最大のブナの原生林。源流には原種のイワナたちが潜むと、以前より友人から聞かされていました。
しかし、その遡行難易度は非常に高く、ゴルジュ帯が行く手を阻み、夏になっても衰えないその水量が遡行者を悩ますとも言います。
ただ、今年は比較的積雪も少なく、最近は晴天も続いていたため、これはチャンスと思い、ついに行動に移しました。
AM5:00に現場に到着し、入渓。まずは沢を下る方向に歩き、そのまま本流との合流へ。

暫く本流を遡行すると、早速ゴルジュ帯が行く手を阻みます。その横を細いゼンマイ道が走っており、これを使って突破します。

とはいえ、ゼンマイ道の幅はせいぜい50cmほど。その下は断崖絶壁で、水面までは15mほど落差があり、落ちたらひとたまりもありません。正に生と死の狭間。
ゼンマイ道を降りてからも何回かゴルジュは出現し、その度に高巻きで回避。やっとまともに釣りができるようになったのは、2回目の分岐からでした。その分岐のすぐ上流にあった小さな淵。

ここへルアーを通すと、払い出し付近で黄金色の魚体がグワン!と反応。その後粘って粘って、ようやくヒット。

長さはあるが、痩せ気味の個体。サイズは36cm。ヒットルアーは45mmシンキングミノー。
痩せ気味ながらも、一本目でこのサイズが出るのにはさすがに驚きました。

よく見ると体の側面がシワだらけになっています。恐らく以前はよく肥えていたのでしょう。また再び肥えてくれることを祈り、リリース。

とりあえずここでお昼にすることに。お湯を沸かしてパスタを茹で、ミートソースで頂く。ほぼインスタントではあるけれど、山で食べるパスタは格別でした。

昼休憩の間に水没してしまったウェーダーと靴下を乾燥。体の冷えは命取りなので、少しでも水分を蒸発させます。
そして釣り再開。先ほどのポイントから暫く遡行すると出現した、そこまで深くはない淵。

それでも油断はせず、なるべく遠目から、瀬の開きめがけてルアーを投げます。すると、着水とほぼ同時に水しぶきが立ったのを確認。大型がルアーに反応しているのを確信しました。その後も着水と同時に水面がざわつきますが、ヒットに持ち込めません。更には一瞬針が掛かるも外れてしまいました。もうダメ?と諦めかけましたが、悪あがきの最後の一投でズシン!という確かな重み。

正体はいかにも源流らしい、琥珀色の体色が美しい雄のイワナ。サイズは37cm。ヒットルアーは45mmシンキングミノー。今回の個体は肥えており、プロポーションもエクセレント。背中の白点がほぼ無いことで、光沢感をより艶めかしく強調させています。これぞ求めていた理想の源流イワナ。

やはり雄らしいこの顔に魅了されてしまいます。ゆえにイワナ釣りはやめられない。その後も尺超えを複数本追加し、日も暮れてきたのでテント泊の準備をすることに。

ブナの木陰にテントを設営。マットを忘れて寝心地が最悪だったことを除けば、カジカガエルの鳴き声が子守歌代わりとなり、心地いい夜でした。
そしてAM5:00起床。朝食をとり、テントをたたんで再び釣り開始。二日目は下山の時間も考慮し、釣りはAM9:00までで遡行できる地点までとしました。
この日も序盤から魚の反応は良く、尺超えのイワナを数本キャッチ。そして辿り着いた、ウェーダーでの遡行が不可能と判断した最後の淵。

なるべく遠目から淵の頭めがけルアーをキャスト。すると最後もグッドサイズのイワナがヒット。

精悍な顔つきの個体。サイズは32cm。ヒットルアーは45mmシンキングミノー。その向こうにもまだまだ淵はあるはずですが、今回はここでストップ・フィッシング。約4時間半かけて険しいゴルジュを下り、やっとの思いでクルマへ帰還。ほっと胸をなでおろしました。

今回のテント泊釣行では、幸運にも理想の源流イワナに出逢うことができました。その中で、遡行では高難易度の高巻きを何度も強いられました。しかしこれは裏を返せば、険しいゴルジュがブナの原生林と多くのイワナたちを護っている、とも言えるでしょう。 改めて、大野市漁協管理区域のポテンシャルを感じられたとともに、さらにこのエリアが好きになりました。
今度はあの最後の淵のさらに向こうへ、ウエットスタイルで遡行可能な時季にトライしてみたいと思います。
ライター自己紹介
アングラー:キーツ 岩田
秋田県出身、福井県在住。小学校6年生の頃にルアーフィッシングと出会う。それ以降、主に淡水に潜むフィッシュ・イーターを求め日本中を駆け回る。
ロンジンLONGIN-ルアーブランド「ロンジン」公式サイトのフィールドテスター、冒険用品「冒険用品」 (jetslow4wear.com)のアンバサダーも務める。
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