「雨の少ないまち」の挑戦〜大分プロジェクト#07〜駅館川漁業協同組合

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大分プロジェクト#07「駅館川漁協」
駅館川(やっかんがわ)漁協の取材に向かい、大分県宇佐市にやってきた。大分市から北に車で1時間ほどの距離に位置するこの街は、宇佐神宮で有名だ。今日の取材場所は、酒井組合長のご自宅。 「どうぞ、上がって」と、玄関横の部屋に案内された。奥様もいらっしゃって、 その部屋は、懐かしさを感じさせる『お茶の間』だ った 。午前10時、和やかな雰囲気の中、インタビューが始まった。

大分県宇佐市の気候と漁業の課題
大分県は気候が複雑で、北部 ・中部 ・西部・南部の4つに分けられる 。今回訪れた宇佐市は北部に位置し 、瀬戸内海気候区に属する。冬季は0°C以下になることが少なく、年間降水量が1,400mm前後と少ないのが特徴。一方、南部の佐伯市は年間降水量が約2,100mmと多い。
駅館川漁協 と水の問題
宇佐市の駅館川漁協は、降雨量の少なさが長年の課題となっていた。駅館川では、ウナギやハエ、かつてはアユも捕れたものの、現在は井堰ができたことでアユの生息数が減少している。
アユの稚魚は毎年350kg、35,000匹購入し放流されるが、井堰を上がることができず、水が足りない状況が続いている。また、カワウの増加もアユの減少原因の一つとなっている。
「水が足りない、ということはお百姓さんにとっては死活問題だよね。毎年5月ごろ、井堰に貯まった水を田んぼに流すんだけど、その井堰にアユもいるんだよ。だから、井堰の水がなくなる時に土地改良区さんと連絡を取り合ってアユを救いに行くんだ。これがその時の写真」と、組合長が写真を手渡してくれた。


地域と川の関わりの変化
地域と川の関わりも変化している。例えば、現在の子供たちは川に親しみがなく、以前はため池で泳いだり遊んだりすることが一般的だったが、現在はプールで泳ぐことが一般的である。また、ツガニやモズクガニが捕れるこの地域では、以前は組合員がカニを捕ってガニ汁を作り、近所の人たちと一緒に食べるという文化が根付いていたが、今はそれも減っているという。
漁協の役割と食文化の継承
駅館川漁協の組合長は、地域の食文化を守り、次世代に繋げる役割を担っている。最近では、料理家のコウケンテツさんが取材に訪れ、地域のガニ汁が紹介された。
「大分の取材で、『中津のから揚げ』や『別府の地獄蒸し料理』も紹介されて。うちは、ガニ汁!僕の軽トラにコウケンテツさんが乗って、一緒に川に行ったよ。ガニ汁も美味しいって食べてくれたよ」
変わりゆく時代を受け入れつつ、今あるものを守り、次世代へ繋げていくことが大切だと組合長は語った。

これからの地域と漁業の取り組み
駅館川漁協は、川と人とのつながりが希薄化していく中にあって、水辺の環境保全や伝統文化の継承に向けて努力を続けている。さらに、持続可能な漁業も重要である。これらの活動を通じて、地域の人々が豊かな自然環境と共生し、次世代に繋げていくことを願っている。
駅館川漁業協同組合
住所:大分県宇佐市大字川部945
TEL:0978-32-1703
周辺情報
宇佐神宮
宇佐神宮(うさじんぐう)は、大分県宇佐市にある神社で、全国に4万社あまりある八幡さまの総本宮。宇佐神宮は、国宝に指定された本殿や唐門など、豪華な建築物が多くある。また、神社の周辺には、美しい自然が広がっており、多くの人々に親しまれている。毎年、例大祭である宇佐神宮祭が行われ、多くの参拝客で賑わう。
宇佐神宮公式ホームページ
http://www.usajinguu.com/



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